私が自分の歯ぎしりの深刻さに気づいたのは、25歳のときに同居を始めた友人から夜中に聞こえる音が恐ろしいと指摘されたことがきっかけでした。自分では全く自覚がなかったのですが、言われてみれば毎朝起きるたびに奥歯がじんわりと痛み、顎の関節が固まったような重だるさを感じていたのです。歯科医院を受診すると、私の奥歯は年齢に見合わないほど平らにすり減っており、このままでは数年以内に歯がボロボロになると警告されました。そこで提案されたのが歯列矯正でした。私の歯並びは一見それほど悪くないように見えましたが、実は上下の噛み合わせが深く沈み込んでおり、それが原因で寝ている間に顎が無理な動きをして歯ぎしりを引き起こしているとのことでした。治療を決意してから、私は約2年間にわたるワイヤー矯正の生活を送り始めました。最初の数カ月は装置の違和感や調整後の痛みがありましたが、驚いたのは治療開始からわずか半年ほどで、毎朝の顎の重だるさが軽減し始めたことです。歯が動いて噛み合わせのポイントが少しずつ変化していくにつれ、夜中に激しく歯を擦り合わせる必要がなくなってきたのを実感しました。以前は市販のマウスピースを使って歯を保護していましたが、それはあくまで表面を守るだけの応急処置に過ぎず、矯正治療は私の口の中の構造そのものを書き換えていくような感覚でした。治療が進むにつれて、歯ぎしりによる音も小さくなっていき、友人からも最近は静かに眠れているねと言われるようになりました。矯正が終わった現在、私の歯は理想的なアーチを描いて並び、上下の歯がパズルのピースのようにカチッと噛み合っています。以前のような食いしばりによる頭痛も消え、何より自分の歯を削り取っているという恐怖から解放されたことが最大の喜びです。100万円近い費用と2年の歳月は決して小さな投資ではありませんでしたが、これから先の人生で歯を失うリスクを回避できたと考えれば、これほど価値のある買い物は他にありません。歯ぎしりは自覚しにくい症状ですが、放っておくと確実に自分の身体を蝕んでいきます。私の体験が、同じように夜の騒音や起床時の不快感に悩む誰かの一歩を踏み出す勇気になればと願っています。