本日は、数多くの患者様の笑顔を創り出してこられた矯正専門医の先生に、治療の総仕上げである「最終段階」について、そのこだわりと哲学を伺います。先生、歯列矯正の最終段階で、最も神経を使うポイントはどこでしょうか。それは間違いなく「機能と審美の調和」です。最終段階では、歯はすでにある程度整然と並んでいます。ここからは、ただ見た目が綺麗なだけでなく、上下の歯が緊密に噛み合い、顎がスムーズに機能するための最終調整を行います。特に重視するのは「犬歯誘導」と「臼歯部の咬合」です。犬歯は噛み合わせの要で、下顎を左右に動かした際に、奥歯が擦れ合わないようにガイドする重要な役割があります。この犬歯のガイドが正しく機能することで、他の歯や顎関節への負担が軽減されるのです。また、奥歯一本一本が山と谷でしっかり嵌合することで、咀嚼効率が上がり、長期的な安定が得られます。これらをミリ単位で調整していくのが、最終段階の仕事です。患者さんとのコミュニケーションも、この段階でより重要になりますね。その通りです。私たちは専門家として客観的なゴールを設定しますが、患者様ご自身がどう感じているかという主観的な満足度も非常に大切です。ですから、最終段階では特に「何か気になるところはありませんか?」と頻繁にお尋ねするようにしています。患者様が口に出しにくいような些細な違和感や希望を、こちらから引き出してあげることが重要です。時には、患者様のご希望が医学的に見て必ずしも最善でない場合もあります。その際は、なぜそれが推奨できないのか、そのメリットとデメリットを丁寧に説明し、お互いが納得できるゴールを一緒に見つけていく作業が必要になります。先生にとって、理想のゴールとはどのような状態でしょうか。それは、私たちが治療を終えて手を離れた後も、その美しい歯並びと機能的な噛み合わせが、患者様の努力によって長期にわたって維持されることです。そのためには、治療の最後に、保定装置(リテーナー)の重要性をどれだけ真剣に伝えられるかにかかっています。装置が外れた日がゴールではなく、そこからが本当のスタート。その意識を患者様と共有できた時、初めて治療は成功したと言えるのだと思います。
歯科医師が語る矯正治療!最終段階で最も大切なこと